ステンドグラスの歴史研究家 田辺千代 Introduction  [はじめに]  

ステンドグラスの歴史研究家 田辺千代

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日本のステンドグラスについて
 
ステンドグラス史の研究をしていますと言うと、おおかたの人が、「教会に入っている色の着いたガラスのことですか」と聞き返します。中には、日本語発音で「ステンドガラスのことですか」とも言います。

ガラスには違いないのですが、ただのガラスではありません。似て非なるもの、それがStainedglassです。色硝子を鉛線で繋ぎ、ひとつの美的世界を表したもののことです。具象・抽象・作家や職人が心を込めて造り出した作品に光線が入り、空気中の目には見えない震動が伝わると、何ともいわれぬ風景が生まれでるのです。

ステンドグラスは、建物の部分に入れられるものですから、建築物はとても大切な位置を占めます。ゴシック建築の壮大な寺院に入れられたステンドグラスは、世界中の人々に認識され、”バラ窓”と言うだけで、フランスのシャルトル大聖堂の名を挙げます。高くどっしりした石造りの中のステンドグラスは、暗い堂内に外からの陽光を通過させて輝き、人びとの心をとらえ、精神の高みへ導くのです。

日本のステンドグラスは、西洋の何千年のものとは違うもので、古いものでも、百数十年の歴史しか持っていません。しかしながら、残された作品の中には世界に比較しても遜色のない美しいものがあります。硝子の色も四季豊かな日本列島の色です。水分を含んだ淡あわしい色、繊細でありながら力強い瑞穂の国の色です。

学校、図書館、公会堂、銀行、デパート、病院、駅舎、温泉施設、旅館、教会、寺院、納骨堂、商店、喫茶店、個人邸など、実にさまざまな所に嵌入されています。純然たる日本家屋(書院造り)に素晴らしい作品が残されている例もあります。個人邸で興味深いことは、褻(け)や晴れの為の玄関や応接間、座敷のほかに厠、風呂場にかなり凝ったステンドグラスが使われていることです。このことは、羽織裏、着物のふきや裾回しにはっとするような美しい色を使って楽しむ、粋(いき)の文化と重なってみえます。また、富士山、白砂青松、家紋、国旗等に見られる象徴を大切にする日本人の意識を念頭において作品を見ると、日本独自の息づかいを感じ取ることができます。

旅に出る時は名所旧跡だけでなく、古い建物、そこに使われている壁紙、家具調度、意匠、そしてひっそりと静まりながら光を放っているステンドグラスの存在に気付いて下さい。ステンドグラスは一に自然光、二に外気とよばれる風や雨、そして何よりも存在に気付いた人が目を向けることで一層の輝きを増していくのです。

 

ステンドグラス史研究家  田辺千代

 

日本のステンドグラスの歴史

そもそものこのサイトのテーマ。研究家田辺千代によって明かされる史実の数々。

 

 
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